引越しまで残り10日となった。
整理されてどんどん片付いていく部屋とは裏腹にさみしさは募るばかりで、暇な時間を見つけては友人と会うようにしている。
時間も、人も、限りがあるものだと分かると途端に愛おしさは増すらしい。
わたしは田舎から田舎へと進学して、人生設計にはまるで描いてなかった場所へやってきた。
「海外へ留学に送り出すって思うことにするね」
そう母に言われたくらい、地元からは遠く離れた地へ飛んだ。
何も知らない場所。
誰も知らない場所。
そんな未知なる状況に、当時のわたしは意外にもわくわくしていたように思う。
そう簡単には戻れない不安やプレッシャーもあっただろうけど、ホームシックになった記憶がないくらいには心を躍らせていた。
きっと、すべてを0から築いていけることが楽しみだったんだろう。
人間関係も、自分の行動範囲も、ぜんぶ。
それまでは狭い世界で生きていたから、多少の窮屈さがあった。
個を伸ばすというより、和を重んじる、みたいな。
その”つながり”が田舎の良いところでもあるし、離れて気付く温かさだったりもするのだけれど。
それに、今思えば、当時のわたしには自分で切り開いていくだけの力と勇気がなかった。
だからこそ、大きく環境を変えることに胸を膨らませていたのだと思う。
実際にはどんぐりの背比べほどの田舎だけど。
そしてわたしは、ここに来なければ出会えなかった人たちに出会えた。
普通の、セオリー通りの人生だったら、きっと出会えなかった人たちなわけで。
そもそも出会いというのはいつだって思いがけない奇跡的なものなんだろうけど、でも、わたしが0から築いてきた関係性は間違っていなかったと言える。
なにより、4年間ずっとそう思わせてくれる人たちでいてくれたことに感謝しかない。
彼女たちのおかげで、ここへやってきて良かったとそう思えるのだから。
出会うべく人に出会うべきタイミングで出会えているというのは、わたしの自慢のひとつ。
そしてこの文章から、どれだけわたしが恋しく思っているのか、どれだけ別れを惜しんでいるのかも十二分に伝わっていることだろう。
それさえ今ここに書き留めておけたらそれで良い。
未だ友人にはこのブログの存在を言っていないから、誰にも見られないようタイムカプセルに手紙を入れるような気持だけど。
(何年後かに自分で読むのも照れくさい)
別れと出会いの季節。
せわしない日々が続きますが、これもまた良き1日ということで。
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