森見登美彦『熱帯』-消えた幻の本-

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凪/nagi
凪/nagi

こんにちは、凪です!

今回の記事では、森見登美彦さんの著書『熱帯』をご紹介します。

「我ながら呆れるような怪作である」と森見さんご自身が仰ったほどの、謎を纏った1冊

  • どんな本なのか知りたい
  • 面白そうなら読んでみたい

と思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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読んだ感想

著者のエッセイを読んだことをきっかけに、小説も読んでみたいと手に取った1冊。

書店のPOPや帯には「謎に包まれる」といった文言が書かれていました。

一体どんな謎を秘めた本なのかと読み進めてみると、どんどん森の奥深くへ誘われるような、どこかへ迷い込んでいくような、そんな不思議な体験を共する、まさに「謎の本」でした。


ただ、これこそが本というものの魅力であり醍醐味なのではないかと、そう思わざるを得ないほどのめり込み読んでしまいました。

たった1冊の本に時間を忘れ、場所を忘れ、熱中してしまう。まるで森見さんに魔法をかけられたような気分になります。

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少しネタバレ

結末には触れない程度に、もう少しこの本の魅力をご紹介します。

あらすじ

沈黙読書会で見かけた『熱帯』は、なんとも奇妙な本だった。

謎の解明に勤しむ「学団」に、神出鬼没の「暴夜(アラビヤ)書房」、鍵を握るカードボックスと「部屋の中の部屋」――。

幻の本を追う旅は、いつしか魂の冒険へ!

『熱帯』森見登美彦・著|文藝春秋 (bunshun.co.jp)

幻の本

今回ご紹介している『熱帯』という本の中には、もう1冊の本が登場します。

それは、佐山尚一という人物が書いた、誰も最後まで読んだことがないという幻の本『熱帯』です。(ちなみに佐山尚一は架空の人物)

本の中に本が登場し、その本(佐山尚一著の『熱帯』)の物語も同時に描かれていく。

どうでしょうか、これだけでも少しずつ謎めいてきませんか。

不思議な形式

散りばめられた謎に、歪んだ時空、繰り返されるキーワードetc.

様々な要素が詰まった1冊ですが、この本を最も謎めかせているのは構成の複雑さです。


先ほどのことと繋がるんですが、本の中に本が登場するので、まるで2つの物語を読んでいるような感覚になります。

「ちょっと難しそう、、」と思われるかもしれませんが、きっとその感覚さえも物語を読み解く鍵となり、この本の魅力となるのです。なんでもすぐに答えが分かってしまうとつまらないですよね、それと似たように。

千一夜物語

そして、物語のキーワードでもあり、決して切り離せられないのが『千一夜物語』です。

本書にも、こんな一節があります。

「『熱帯』は『千一夜物語』の異本なのだから」

『熱帯』森見登美彦/第3章

そして、森見さんご自身も「この本を書くにあたっての原点的発想」と仰っています。


『千一夜物語』とは一体なんなのか、気になりますよね。

ご存知の方もいらっしゃるかと思いますが、古くから世界中で読まれてきた中東の古典文学です。

わたし自身読んだことはないのですが、今作を読んで興味が沸いたので、簡単にどんな本なのかをご紹介します。

  • 妻の裏切りで女性不信に陥ったシャハリヤール王は、日ごとに女性を呼び出しては首を刎ねていった。そんな王に立ち向かったのは、娘のシャハラザード。女性の命を守るべく、毎夜物語を語り続けた。
  • 『千一夜物語』にはシャハラザードが王に語った物語が収められている。
  • 物語の中で登場する人物がさらに物語を語るという、マトリョーシカのような仕組み。

どうでしょう、ここまでご紹介してきたこの本(『熱帯』)の魅力と重なりませんか。

詳しくは是非読んで頂きたいので伏せますが、なぜ『千一夜物語』が本書の鍵となってくるのか、その所以は『千一夜物語』そのものの面白さが由来となっているからなんです。

あとは読んでからのお楽しみ、、!

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おわりに

今回は、森見登美彦著『熱帯』をご紹介しました。

とにかく謎に包まれた1冊なので、どう面白いのかを説明するのもまた難しいのですが、その簡単には語らせまいとする複雑さが魅力、、といった具合に完全に虜です。

まだまだ語りたい面白さがあるので、ぜひ読んだ方は語り合いましょう。笑

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