町田そのこ『星を掬う』-すれ違う母と娘-

町田そのこの星を掬う
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こんにちは、凪です。

昨年の本屋大賞『52ヘルツのクジラたち』を読み、すっかり町田そのこさんのファンとなった私が、書評1作目としてご紹介するのは、新作『星を掬う』です。

  • どんな本なのか知りたい
  • 面白そうなら読んでみたい

と思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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読んだ感想

描かれている題材は、DV、貧困、認知症などの社会的問題が多く重めですが

「母と娘」という関係性が紡いでいくストーリーにぐっと引きこまれ、一気に読んでしまいました。

生きるとは、家族とは、そして自分の人生とは。

そんな自問自答を繰り返しながら、自分らしい答えが見つけられる素敵な作品です。

読み終えた後、きっと大切な人に会いたくなります。

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少しネタバレ

結末には触れない程度にもう少しだけ深堀りしていきます。

あらすじ

元夫から金銭を要求され生活に苦しむ千鶴は、賞金欲しさに”ある夏の思い出”をラジオ番組へ投稿する。

ーそれは、22年前。小学1年生の夏休みに母とふたりで旅に出かけ、そのあと母に捨てられたという、自分だけの記憶。

放送を聞いて連絡してきたのは、自分を捨てた母・聖子の「娘」を名乗る、恵真というひとりの若い女性だった。

彼女との出会いをきっかけに、変わり果てた姿の母と同居することになり、22年ぶりにあの夏の思い出が動き出す。

すれ違う母と娘

本作では、あらゆる「母と娘」の関係性が描かれています。

子を捨てた母と、親に捨てられた娘。

子に捨てられた母と、親を捨てた娘。

本当の母娘と、血の繋がらない母娘。

彼女達には、それぞれの過去があり、それぞれの境遇があります。

それらが1つ屋根の下でどう交差していくのか。果たして、交わることはできるのか。

そして、「星を掬う」とは一体どういう意味なのか。

前作の対となる今作

とあるインタビューで、著者はこう語っています。

「52ヘルツのクジラたちを書き上げたとき、続編は書かないつもりでした。でも、もし書くなら今度は前作とは逆の、虐待する側の視点、世の中から批判されるようなことをした母親の、そうせざるを得なかった事情と、それを見つめる娘の視線かなと思っていました。時がたつにつれ、その思いが強くなっていったんです」

母と子のありようを描く「星を掬う」著者・町田そのこさんインタビュー そのしつけ、子どものため、それとも親のため? | 子育て世代がつながる – 東京すくすく (tokyo-np.co.jp)

前作では、母に虐待された少年が出てきますが

今作でその対となる「虐待する母」が描かれているのは、著者の意図だったんですね。

私は、まるでアンサーソングならぬアンサーストーリーではないかとゾクゾクしました。

前作を読んで、今作がまだな方は是非、、!

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最後に

今回は、町田そのこ著『星を掬う』をご紹介しました。

自分の人生や、人との繋がりを改めて見つめ直させてくれる、そんな一冊です。


〈凪のつぶやき-読了後-〉

人は誰しも、素直になれたら良かったのに、と後悔したことが一度はあるだろう。

「素直に感謝できていたら」「素直に謝れていたら」

と、そんな風に。

そしてそれは、時に自分自身に対しても向けられる。

自分から目を背けてはいまいか、と。

他人軸で生きてしまいがちな世の中だけど、

あなたの人生はあなたのものだ。

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